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【求人を選ぶ権利】ハードワークに苦しむ「保育士の今」【後編】

前回、前々回と、厳しい環境で働きつつ「助けて欲しい」とヘルプサインを出せない保育士の現状についてご紹介してきました。

つらいことがあっても、保育園という特殊な環境ではなかなかヘルプサインは出せないもの。では、どうやって対処していけばいいのでしょうか?

ヘルプサインを出さなくても大丈夫になる方法、ヘルプサインを出しても大丈夫と思える気持ちのコントロール方法をご紹介します。

ハードワークに苦しむ「保育士の今」
ハードワークに苦しむ「保育士の今」

働く時間を調整する

保育士は、8時間労働が職務規定上に定められています。けれども、これに加えて5時間前後の残業をしているのが現状としてあります。

ハードワークによって、ストレスが溜まりやすい状態を和らげるためには、経営する側が園に勤める保育士たちに配慮した勤務体制を整えることが重要です。同時に、保育士自身もハードワークしないように、留意することが求められるでしょう。まずは、「残業しない日」を自分の中で決めて、それを守ることから始めてみてはいかがでしょうか。

収入を上げる

収入が少ない、これは保育士の悩みの中でも大きいものではないでしょうか。せめてあと10万円月収が高かったら、ある程度のハードワークであっても納得して働くことができるという保育士は多いのではないでしょうか。

最近では、保育士の諸問題が各メディアに取り上げられるようになってきました。その中に、保育士の給料を1万数千円あげるという発表もあります。給料が上がることはうれしいことではありますが、このレベルの月収アップで、現在の勤務形態を維持したいと思える保育士はどれだけいるのでしょうか…。

保育士の仕事内容や責任感を加味した給料を考え、積極的な見直しに期待したいです。

「転職」を当たり前に

今勤めている保育園を退職し、別の保育園に転職するという決断ですが、人によっては「お世話になったところを裏切る」という気持ちを持つことがあります。けれども、保育士の転職応募サイトを通じて職場を選ぶ権利は、保育士にも認められてしかるべきものです。

どうしても優先しがちな「園長先生の意向」だけではなく、「自分の能力を活かせる職場」や「好きな保育ができる職場」を選択する意思を強く持つことが大切です。そうすることで、自分が活き活きと仕事に取り組める保育園を選ぶことができるようになり、さらに仕事を前向きに取り組んでいけるのではないでしょうか。

「保育士の実情」を異業種に知ってもらう

誰にも相談できずに、独りで悩んでしまう保育士には、園の中での出来事は誰にも話してはいけないという潜在意識が働いていることが少なくありません。

けれども、悩みを誰かに相談すること、保育現場の実情を誰かに知ってもらうこと、それは大きな意味を持ちます。とくに、保育業界以外の人の視点に照らし合わせることが、新たな解決の糸口となる機会になるケースが珍しくありません。

私を救えるのは、私だけ

「ヘルプサイン」を出すことは、自分が思っている以上に重要です。

とはいえ、「ヘルプサイン」から実際の行動に移し、苦境を打ち破ることができるのは、自分以外にいません。

まずは、仕事に対する取り組み方を変えてみるところから始めてみましょう。また、新たな職場を探す視点でも、保育士の転職サイトへの登録を行うだけでも意味があります。

著者

40代 保育士 / 神奈川県在住 女性

>>>保育士に見てほしいサイト。ハードワークに苦しむ保育士自身が精神衛生管理に困った場合、今年は保育士求人サービスで転職を考えるしかないと思う。なぜなら2016年の保育士市場は慢性的な人手不足による『転職する保育士有利』だからです。

まとめ

今勤めている保育園の「ありえない現状」が違和感にしか感じない、「ここで続けるのは無理…」と思うのであれば、現状を変えるために「たったひとつでも行動」をしてみましょう。

もっとも陥ってはいけないのが、自分を責めることです。毎日の残業で倒れてしまったことに対して、「自分の体力のなさ」を自責しても、苦境はなにひとつ変わりません。

保育士の仕事は、「できない自分が悪い」と考えるのではなく、「自分を活かせる仕事は何だろう」という視点を忘れずに考えていくことで、気持ちを穏やかに保つことができるはずです。

【求人を選ぶ権利】ハードワークに苦しむ「保育士の今」【中編】

前回は、保育士の働き方の現状についてご紹介しました。「楽しそう」「らくそう」と言われている保育士が、普段どんな業務をこなしているかご理解いただけたと思います。

しかし、つらいことがあっても保育士はなかなか「ヘルプサイン」をださないといいます。それはなぜなのでしょうか?

ハードワークに苦しむ「保育士の今」
ハードワークに苦しむ「保育士の今」

出しにくい「ヘルプサイン」

これだけ業務が集中しているのであれば、誰かに助けを求めたらいいのに、辞めてしまったらいいのに…、そう思う人もいるのではないでしょうか。それでも、保育士がなかなか「ヘルプサイン」を出しにくいのは、実はいくつかの理由があるからなのです。

真っ先に浮かぶのは「子どもの顔」

日々、相手にしている子どもたちの顔を思い浮かべてしまうと、つい弱音が吐けなくなる保育士は少なくありません。仕事のモチベーションとなっているのは、やはり子どもたちと言えるのではないでしょうか。

これは、子育て中のママにも共通している心理でもありますが、子どものために自分を犠牲にすることはいいことだという心境に陥りがちです。さらに、他の職員の目がある保育園という環境が、「仕事が大変でもがんばるものだ!」という同調圧力が働きやすい危険性をはらんでいます。他の先生が弱音を吐かずにがんばっているにもかかわらず、自分だけが弱音を吐いたらどうなってしまうのだろう…、という心情になる傾向があります。

時間を取りにくい「転職の準備」

仕事が辛く、今すぐに辞めたいと思っていても、現実問題として「辞めた後」のことを考えなければなりません。実家暮らしをしているのであれば、今の園を退職してからも、しばらくの間は次の職場探しができるかもしれません。とはいえ、一人暮らしをしている保育士では、「働いていない時間」ができることは、そのまま生活が困窮することを意味します。蓄えがあるのであればいいかもしれませんが、保育士の給料事情を考慮すると、数カ月もの間、仕事をしなくてもいいくらいの貯金」は難しいのではないでしょうか。

意外に見落としがちなのが、時間の問題です。毎日、朝早くから夜遅くまでハードワークしていると、転職活動に割ける時間的な余裕は皆無に等しいのではないでしょうか。たとえ、職場から帰宅してから、または休日に時間の余裕があったとしても、日ごろのハードワークによる疲れが取れず、転職先を探す力まで残っていないというケースが珍しくありません。

そういった事情から、多くの保育士たちは、心身の限界を超えてもなお、「ヘルプサイン」を出せなくなってしまうのです。

著者

40代 保育士 / 神奈川県在住 女性
参考にさせていただいたサイト:保育士の募集サイト

「ヘルプサイン」を出せない保育士を救うためには、どうしたらいいか?

「保育士=楽しいだけの仕事」という構図が、実際は違うということがわかったとしても、それを抜け出すためにはどのようにしたらいいのでしょうか。

これは、保育士個人がどれだけ努力を重ねたところで根本的な解決を望めない部分もすくなくありません。しかし、これから後編でご紹介するポイントが改善されていくことで、保育士にとって働きやすい環境が整ってくるのではないでしょうか。

 

【求人を選ぶ権利】ハードワークに苦しむ「保育士の今」【前編】

自己紹介のときに「保育園で働いています!」というと、「仕事で子ども遊べるなんて、楽しそうですね!」とか「魅力あるお仕事をされているんですね」など、ポジティブなイメージを持たれることが少なくありません。

ハードワークに苦しむ「保育士の今」
ハードワークに苦しむ「保育士の今」

「保育士」の仕事の実態

たしかに、保育士は魅力ある仕事です。

子どもの成長を、近いところで見ることができます。さらに、子どもたちと一緒に喜びや達成感を味わえる経験は、人生にとってもかけがえのない時間になることでしょう。

とはいえ、やりがいこそあっても、なぜ離職率は一向に高いままなのでしょうか?

多くの保育士は、勤めている職場を5年以内に退職してしまいます。

もちろん、他の保育園に転職して保育士を続ける人もいますが、「もう保育士は勘弁!」といって、保育業界から離れてしまう人も珍しくありません。

せっかく時間とお金を費やして資格を取り、保育士として活躍していたのに、少々もったいない気もします。

逆に言えば、そこまで保育士たちを追い込んでしまう保育現場の実情は、どのようになっているのでしょうか。

今回は、保育業界の外には知られていない、保育士の「ヘルプサイン」について、3回にわたってご紹介していきましょう。

「保育士=楽しい」はホント?

世間のイメージは、「保育士=楽しい」と思われることが少なくありません。けれども、保育士をやっていると、楽しいだけではやっていけないのではないでしょうか。

子どもから感染症をうつされることもあり、クラスの子どもを守るためには、少ない給料や毎日の残業に耐え続けることも求められます。さらには、女性が多い職場の人間関係、保護者への対応などで、どうしてもストレスがたまってしまい、心身が疲労する保育士は意外に多いといわれます。

子どもと遊ぶだけという保育士への認識は、実は間違いだらけといえるでしょう。

細やかな視点で常に注意を払う

しかしながら、子どもの仕事は、1日を通して遊ぶことです。そのような子どもたちと一緒に遊んでいる保育士は、常に子どもの命も同時に守っています。園庭でも、公園でも、給食中でも、常に子どもたちに危険なことはないだろうか、こまやかな視点で配慮し続けなければなりません。

終わらない雑務

もちろん、遊びを見守ることだけが、保育士の仕事ではありません。見えにくいところですが、遊びよりも雑務の方が圧倒的に多いでしょう。

なかでも、子どもたちが午睡している間に、保護者に向けて連絡帳を書くのはよく知られています。保護者が迎えに来る前に仕上げなければならないため、書くための時間はあまり多くありません。

入念なスケジュール確認と準備

また、次の日の準備も大変です。お散歩に出かける予定なら、持ち物の準備や他の担任同士の打ち合わせを入念に行う必要があります。保育室で絵や工作をする予定であれば、絵の具の準備をしたり、工作用の画用紙を必要なサイズに切る作業をしたりします。

膨大な書類作成業務

これに加えて、書類の作成も驚くほど多いものです。たとえば、毎日の記録(日案)、週ごとの記録(週案)、月ごとの記録(月案)、お誕生会や運動会、お遊戯会など行事があるたびにつくる計画書など、これらがどの保育園でも共通している書類です。これらの書類を次々に作成していくためには、日々の残業や持ち帰り仕事が慢性化していくことも珍しくありません。

著者

40代 保育士 / 神奈川県在住 女性
参考にさせていただいたサイト:保育士の求人情報

前編のまとめ

いかがでしたか?保育士さんであれば「こんなのふつうのこと!」と感じると思いますが、保育業界で働いた経験がない方からみると「そんな仕事まであるんだ・・・!」と驚かれたのではないでしょうか?

もちろん、保育士以外の仕事でも膨大な仕事量の職種や企業の方はたくさんいらっしゃいます。

しかし「楽しそう」「こどもと遊んでいるだけ」といっている方々は、この仕事量を知ってもなお、「保育士=楽しい」といえるのでしょうか…。